落書き島より

好きなだけ落書きだー!

香山滋『海鰻荘奇談』

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 さて、ようやく本の紹介するよ。自己紹介につらつら好きな作家載せてる割りに、更新遅すぎで申し訳ない!

 

 今回の『海鰻荘奇談』は、著者が「ゴジラ」の生みの親というのがウリ。昨今、シン・ゴジラとかアニメゴジラとかで、いろいろ話題になってますよね。で、生みの親のことは全然知らないなあということで手にとったのが、この本。

 読んでみると、昭和の空気感がすごい。いい意味で。

 

 例えば表題作では、水産学会の権威たる博士が住まう「海鰻荘」において、とある水棲動物を用いた殺人が起こる。被害者の身体からは、内臓や血液すべてが抜き取られていて、およそ人為的な方法によるものとは考えられない。明確な動機を持つ人間が一人いるけれども、果たしてその殺人方法とは…? というお話。

 「やートンデモミステリじゃんー」と思うかもしれないけど、著者は生物学・考古学に造詣が深く、これを駆使して、動物に関する空想科学小説を矢継ぎ早に発表してきたそうだ。本作もこの例に漏れず、緻密な描写で不可能を可能にできると思わせるような話運びが上手い。まさに、科学が発展途上だった昭和ならではのミステリだと思う。

 

 以下、気に入った作品の感想羅列。

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